突然の訪問者による「家の無料点検」には注意が必要です。
このページでは、悪質な「点検商法」からあなたの家と大切な資産を守るための知識と具体的な対策を分かりやすく解説します。
点検商法とは、突然、家を訪れ「無料で点検します!」と偽り、
事実とは異なる報告で消費者の不安を煽り、高額な工事契約を結ばせる悪質な手口です。
専門知識がない 家主の善意や不安に付け込むため、多くの被害が発生しています。
ここでは、その典型的な流れを理解し、最初の段階で見抜けるようになりましょう。
「近所で工事中」等を理由に近づき、無料点検を提案。
「自分は大丈夫」と思っていても、悪質業者は人の心理を巧みに操るプロです。
彼らが使う心理的なテクニックを知ることで、冷静さを保ち、
自分を守ることができます。
「このままでは家が危ない」と危機感をアピールし、恐怖心を煽り、正常な判断力を低下させます。
専門用語を多用したり、作業着を着たりすることで「専門家の言うことは正しい」と思い込ませます。
「無料で点検してあげたのだから」という無言のプレッシャーをかけ、契約を断りにくくさせます。
「お隣も契約しました」と嘘をつき、「みんながやっているなら安心だ」という心理を利用します。
悪徳業者は、 家主の心理を巧みに利用した様々なトークで契約を迫ります。
これから紹介するのは、実際に多く報告されている典型的な手口です。
これらのパターンを知っておくことで、相手の言葉に惑わされず、冷静に対応することができます。
「奥さん、屋根の釘が浮いているのが見えました。次の台風で確実に瓦が飛んで、雨漏りしますよ。そうなったら天井の張り替えや柱の修理で100万円以上かかります。」など、具体的で大げさな被害額を提示して恐怖を最大限に増幅させます。
「大切な家が大変なことになる」という強い恐怖心は、冷静な判断力を奪い、「今すぐ専門家に対処してもらわなければ」という焦りを生み出します。実際には緊急性が低い、あるいは全く問題ないケースがほとんどです。
「ちょうど今、この地域でモニターキャンペーンをやっていまして、今日決めてくれるなら工事費を半額にできます。」、「次の現場で使う足場をそのまま使えるので、今なら足場代の20万円がまるまる無料になります。」といった、もっともらしい理由をつけて、その場での契約を迫ります。人は「限定」、「特別」、「お得」という言葉に弱く、「このチャンスを逃したくない」という損失回避の心理が働きます。これにより、本来じっくり比較検討すべき工事内容や金額の妥当性を吟味する時間を与えず、勢いで契約へと誘導するのです。
「あちらの角の田中様のお宅も、先週うちで屋根の漆喰を直したばかりですよ!」、「お隣の鈴木様からもご挨拶するよう言われております!」など、具体的な名前や場所を挙げて、話の信憑性を高めようとします。これは「ご近所さんも利用しているなら信頼できる業者だろう」という安心感(社会的証明)を悪用する手口です。ご近所付き合いを大切にする人ほど断りにくくなる心理を突いてきます。実際に確認しに行く人は少ないことを見越した巧妙な心理トリックであり、後で確認したら全くの嘘だった、というケースが後を絶ちません。
「見えにくい場所なので、私が写真に撮ってきますね!」と言って屋根裏や床下に潜り、持参した別の家のひどい損傷写真を見せたり、ひどい場合にはその場でこっそり建材を壊したり湿らせたりして、「シロアリの被害がこんなに進んでいます!」、「このままでは床が抜けます!」と嘘の証拠を突きつけます。 素人では確認しようがない場所だからこそ、専門家から写真や「プロの診断結果」を提示されると信じてしまいがちです。これは非常に悪質で、器物損壊罪にあたるれっきとした犯罪行為です。
「去年の台風による損傷なら、火災保険の対象なので自己負担なしで修理できます。面倒な申請は全部こちらで代行しますから、お客様の負担は実質0円ですよ!」という甘い言葉で近づいてきます。しかし、実際には保険金が下りなかったり、下りたとしても「申請代行手数料」として保険金の30~50%という法外な手数料を請求されたりします。さらに、保険金を多く受け取るために不要な工事を上乗せされたり、経年劣化を自然災害と偽って申請するよう促されたりするなど、気づかぬうちに不正請求に加担させられるリスクもあり、非常に危険です。
全ての訪問業者が悪質とは限りません。
しかし、いざという時に見分けるためのチェックポイントを知っておくことが重要です。
以下の比較表で、信頼できる業者と注意すべき業者の違いを確認しましょう。
突然の訪問に動揺しないために、
日頃から「こう対応する」というルールを決めておくことが非常に重要です。
以下の4つの黄金ルールを心に留めておくだけで、
悪質な勧誘のほとんどを撃退できます。
家族全員でこのルールを共有し、家の安全を守りましょう。
「点検だけでも!」という言葉は、相手を家の中や敷地に入れるための常套句です。一度上げてしまうと、わざと家の一部を破損させて「これが証拠です!」と見せたり、長時間居座って契約を迫ったりと、相手のペースに持ち込まれてしまいます。インターホン越しに対応し、「家のことは全て決まった業者にお願いしていますので!」、「今は忙しいので結構です!」とはっきりと、しかし冷静に断ることが最も効果的です。相手がしつこくても、ドアを開ける必要は一切ありません。
「今日だけの特別価格です!」、「明日ではこの値段は出せません!」といった言葉は、消費者の冷静な判断を妨げるための典型的なセールストークです。どんなにお得に思える提案でも、その場で契約書にサインをするのは絶対にやめましょう。一度「家族と相談してからでないと決められません!」、「複数の業者さんから話を聞くことにしています!」と伝え、書類だけ受け取って必ず帰ってもらいましょう。時間を置くことで、冷静に契約内容を検討し、インターネットで評判を調べるなど、客観的な判断が可能になります。
訪問してきた業者の指摘がもし本当に正しく、修理が必要だと感じた場合でも、その業者に依頼するのは早計です。必ず、地元の工務店など、信頼できる別の業者を最低でも2社以上呼び、同じ箇所の点検と見積もりを依頼しましょう(これを「相見積もり」と言います)。これにより、提示された金額が適正価格なのか、提案された工事が本当に必要なのかを客観的に比較・判断できます。悪質業者の見積もりは、他の業者に比べて極端に高額だったり、不要な工事が含まれていたりすることが一目瞭然になります。
まともな業者であれば、会社名、所在地、固定電話の番号、担当者名が明記された名刺を必ず持っています。まずは名刺をもらい、もし可能ならその場でスマートフォンを使い、会社のウェブサイトが存在するか、住所が実在するか(レンタルオフィスや架空の住所でないか)などを確認しましょう。建設業の許可番号なども確認できればより安心です。名刺を渡さなかったり、携帯電話の番号しか教えなかったりする業者は、その時点で極めて疑わしいと判断して間違いありません。
万が一、契約してしまっても、まだ諦める必要はありません。
冷静に、そして迅速に行動することが重要です。
法律は消費者を守るための制度を用意しています。
以下のステップに従って、落ち着いて対処してください。
一人で悩まず、すぐに専門機関に相談することが解決への一番の近道です。
訪問販売の場合、契約書面を受け取った日を含めて8日以内であれば、無条件で契約を解除できます。理由は必要ありません。必ずハガキなどの書面(特定記録郵便などが証拠として残るので推奨)で業者に通知してください。
8日を過ぎていても、業者が嘘の説明をしたり、重要な事実を伝えなかったりした場合(不実告知・重要事項の不告知)、消費者契約法によって契約を取り消せる可能性があります。諦めずに相談してください。
あなたの経験が、次の被害者を生まないための貴重な情報になります。
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